ハロゲンヒーターの特徴

ハロゲンヒーターは、通電した電気をハロゲンランプが光に変換し、集光鏡により光を集中させて高温加熱するヒーターです。

ハロゲンランプの波長分布のほとんどは500nm~2500nm域の可視光線~近赤外線領域です。
近赤外線領域の内、ピーク波長は約900nm~1000nmです。
その為、加熱対象物の吸収率が近赤外線領域の分光分布に近いほど加熱効率が良いです。

下記が主なハロゲンヒーターの特徴です。

(1)エネルギー交換率が高い

電気エネルギーを光エネルギーに変換する割合は90%以上。電気を使った加熱では加熱効率が非常に良い。

ハロゲンランプはタングステン製フィラメントから伝わる電気を光に変換し、
ハロゲンヒーターはランプから放射される光(可視光線~近赤外線領域)を利用しています。
蒸発した金属粒子をハロゲンガスで還元するので寿命が長くなり、工業用として使用されています。

ハロゲンランプの変換効率は、可視光線が約10%、赤外線が約80%、他に極僅かですが紫外線も放射しています。
可視光線や紫外線も電磁波なので、物体を加熱するエネルギーは有ります。
全電磁波への変換効率は約90%で非常に効率の良い加熱手段です。

加熱対象物に集中させる効率は集光鏡の曲率によって変わります。
短焦点の集光鏡ほど集光鏡の利用率が高くなり、集光効率も良くなります。
照射した電磁波が吸収されて熱に代わるわけですが、加熱対象物の吸収率や色、表面状態によって、吸収量=温度は大きく変わります。
その為、光(電磁波)の90%を構成する赤外線の吸収率を把握することが重要です。

エネルギー交換率が高い

 

(2)ヒーターの立ち上がり時間が非常に速い

ヒーターが瞬時に立ち上がるので、アイドリング時間が節約され経済的です。
弊社最上位機器HPH160の場合、最高温度の70%出力まで約12秒で到達します。

ヒーターの立ち上がり時間が非常に速い

(3)電圧を常時変更することが可能で、PID制御に適しています。

加熱環境によって温度を変更したい場合、ハロゲンヒーターの電圧を変えるだけで温度を制御できます。
定格電圧以下で使用した場合、寿命を延ばすことができます。

(4)ガラス越しの加熱が可能でクリーンルーム内や真空チャンバー内も対応できます。

ランプ本体が石英ガラスで製造されていることから、ガラス越しでの使用が可能です。
ただしクリーンルームで使用する場合は、ハロゲンヒーターを「クリーンルーム仕様」にする必要があります。

(5)集光鏡により照射した光を集中させることができます。

集光ミラーには、点加熱と円形加熱、線加熱、平面加熱の3種類があります。

(6)金属に対する加熱から非金属の加熱まで広範囲の加熱ができます。

ハロゲンヒーターは近赤外線領域での加熱に適しており幅広い分野での活用、加熱ができます。

(7)接着剤や塗料など半透明な素材は表面の加熱以外に内部も加熱できます。

(8)他の加熱方法と比較して安全です。

トラブル時、ヒータ降温が速いため、被加熱物の発火の危険性が軽減できます。
キセノンランプは紫外線領域の光を照射も含まれているので、裸眼での光の確認は向いていません。
また、ランプ の種類によりますが、起動時に瞬間的に約3万Vの高電圧を使用するので、取り扱いは注意が必要です。

レーザー光の取扱には厳格な基準があり、安全基準も他の加熱方式とは桁違いです。
分類によっては目や皮膚に重大な損傷を与えることもあります。

ハロゲンヒーターを他の加熱方式と比較した表を下記に示します。

他の加熱方法と比較して安全です。

※1 【厚生労働省の基発第0325002号「レーザー光線による障害の防止対策について」】
※2 【JIS C 6802・2014(IEC 60825-1:付属書JA「使用者の指針」)】
*ハロゲンランプの光の波長域は約1μmをピークとする0.4~2.5μm域(可視光~近赤外線域)です。
*半透明体(皮膚や塗料や接着剤など)は比較的内部まで入り込み、内部からも加熱される。
*金属に対する吸収率は遠赤外光よりも良く、非金属に対してはよくない物もあり差が大きくでます。

 

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