ハロゲンランプまでの発展経緯

ハロゲンランプの知識

カーボンフィラメントの発展

ハロゲンランプは白熱電球から発展しました。 初期の発熱電球のフィラメントはカーボンフィラメントが使われていました。オスミウムやタンタルなど金属のフィラメントの開発が行われていましたが、価格や交流点灯時の問題から一般普及には至りませんでした。米国のW.R.Whitney博士により、電球の黒化の原因は蒸発したカーボンの他に、ある種の灰分の酸化物の存在に大きく影響していることが発見されました。対策として、フィラメントの使用温度よりもはるかに高い温度で熱処理し灰分の酸化物を減少させて寿命中の黒化を抑えました。この熱処理によりフィラメントの表面状態が硬く強くなり金属のような性質をもつようになり使用温度が200℃上昇し1900℃までの使用が可能になりました。炭素は融点が約3500℃と高いものの、高温域での蒸気圧が高く、蒸発(昇華)が激しいため、高温で使用できませんでした。タングステン電球が開発されるまではこの熱処理されたカーボンフィラメントの白熱電球が主流となりました。

タングステンフィラメントの発明

その後も絶え間なく炭素以外の新しいフィラメントの開発が行われ、3360℃の融点を持つタングステンに注目をされるようになりました。タングステンを個体のまま、あるいは粉末から線状にするように試みが行われましたが実現には至らず、1905年にオーストラリアのA.JustとF.Hanamanはタングステンに化学的操作を加えてフィラメントにすることに成功しました。炭素の2倍の効率を得ることができましたが、フィラメントが非常に脆く取り扱いにくいという欠点がありました。1908年にW.Dcoolidgeがタングステンに各種の加工を加えると機械的強度が向上することを発見し、タングステンの脆さを解決し、1910年には実用化されました。

ガス入り電球の発明

タングステン電球でもカーボンフィラメントと同じく黒化現象が起こりました。米国のI.Langmuirは電球の黒化現象の原因はタングステンフィラメントの蒸発であることを発見し、電球内部に不活性ガスを封入することにより蒸発する量が低下することが発見しました。更に、不活性ガスによりフィラメントが不活性ガスの層に包まれて熱損失を引き起こしていたことも同様に発見されました。結論としてガス封入電球は熱伝導と対流によるエネルギー損失は発生するが、タングステンの蒸発を押さえるので、熱伝導の小さいガスを使用すれば、同じ寿命にした場合真空電球よりフィラメント温度を高くできる効果の方が大きくなり、最終的に効率を良くすることが出来る可能性があることが判りました。この熱損失はフィラメントの長さに影響することから、フィラメントを直線からコイル状にすることで熱損失を少なくすることに成功し、単コイルガス入り電球が誕生しました。初期には不活性ガスに窒素が使われていました。その後、熱伝導率が低く、分子量が大きい(蒸発抑制効果が高い)アルゴンに少量の窒素が封入されたガスが主流採用されるようになりました。

二重コイルフィラメントの発明

1921年に日本で三浦順一により単コイルフィラメントをもう一度コイリングして効率を上昇した二重コイルフィラメントが発明され1936年に一般発売されました。その後二重コイルフィラメントは当初バルブに対して垂直に配置されていましたが、縦式にすると熱損失が少なくなり、効率が5%向上することが発見されました。

ハロゲンランプの発明

1959年には米国のE.G.Zeblerによってハロゲン電球が開発されました。ハロゲン電球は、働程特性(寿命中の光速維持率)がほとんど変化しない特性を持っていました。ハロゲン元素を使用することは1915年に研究されていましたが、熱力学的な解明や石英ガラスの加工技術が確率されておらず製品化には至りませんでした。ランプに封入されているハロゲンガスは、点灯中は高温部で原子状に解離し蒸発したタングステンと化合し、蒸気圧の高いハロゲン化タングステンを形成し、タングステンがガラス球内面に蒸着することを防止してます。タングステン化合物が蒸着しない程度の温度と熱解離しない温度の範囲にバルブが保たれていれば黒化減少はおこりません。また、点灯中に高温となったフィラメントにより、ハロゲン化タングステンが1400℃以上になると分離しタングステンはフィラメントに戻るので、フィラメントの損耗を抑えることもできました。これらの条件を満たすためには、小型、高出力とする必要があり、ガラス球は耐熱の石英ガラスが採用されました。1959年に実用化されたハロゲン電球はヨウ素を封入した両端子型の電球で投光用として発表さました。最近では寿命特性の安定がはかられ臭素が封入されています。その後両端子型が改良されて片端子型のランプが開発されました。現在では一般照明用のハロゲン電球や白熱電球は、LED電球より可視光光線の割合が低いため、ヨーロッパ諸国では段階的に廃止されています。

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