ハロゲンランプのシール(封止)について

ハロゲンランプのシール(封止)について

ハロゲンランプも白熱電球と同じように、封入ガスが外部に漏れないように封止された密閉構造にする必要があります。またハロゲンランプではハロゲンサイクルを生起させるための条件として、バルブの温度は250度以上にする必要があるので、バルブには石英ガラスなどの耐熱温度が高いガラスが使用されます。石英ガラスは一般電球に使用されるソーダガラスと比較すると熱膨張係数が10倍以上も小さい値です。シリカガラスは、ジュメット線と言われる鉄とニッケルの合金の導入線を使用し、熱膨張係数が比較的近いのでそのままでも封止が可能です。ハロゲンランプでは石英ガラスが使用されるので、熱膨張係数を合わせる為に、直線導入線をガラスで封止するのではなく、20~30μm(0.02mm~0.03mm)の極薄のモリブテンという金属箔が使用されます。モリブテン箔がこれ以上厚いと熱膨張率の違いから石英ガラスにクラックが生じ気密性が保てなくなったり、逆に薄いと強度的に弱く封止作業中や点灯中に箔切れが発生する事になります。
導入線はモリブテンやタングステンを使用した素材が使用されています。

この導入線は封止部分のモリブテン箔のように石英ガラスと熱膨張係数を合わせていないので、ピンチシールをしていますが、厳密には密着していません。あくまでもモリブテン箔の部分のみが石英ガラスと密着し、これによって気密構造が保たれています。そして、バルブの封止部から外部に出る導入線は外気に常に晒される状態で、点灯時には高温雰囲気状態にあります。高温雰囲気状態では。導入線が徐々に酸化し、最終的には封止部のモリブテン箔まで進みます。酸化が進むと抵抗値が増加したことによる温度上昇や熱応力によって封止部が破損します。
この破損を防ぐ方法ととして、モリブデン箔自体に酸化防止の処理を行う方法があります。一つ目はモリブデン箔自体や外導線自体にイオン注入によってクロム、アルミニウム、シリコン、チタン、タンタルやパラジウム等からなる物質を埋め込む方法です。二つ目は、モリブテン箔の表面に酸化ケイ素からなる耐酸化性被膜を被覆する方法です。
モリブテン箔の酸化は高温雰囲気状態で起こり、空気中では200℃以上で徐々に酸化し始めます。酸化防止対策として、圧縮空気によるシール部の強制冷却や、放熱板を取り付けてシール部の放熱が効果的です。弊社では放熱板の加速放熱として、ハロゲンポイントヒーターのアルミベースの中に熱伝導率が良好な酸化金属粉末を充填し、ランプ封止部の熱を高効率で伝熱してアルミベースより放熱しています。

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