樹脂加熱の基礎知識-3 樹脂の種類-10 導電性樹脂

樹脂加熱の基礎知識-3 樹脂の種類-10 導電性樹脂

物質には電気を流すものと流さないものが有ります。

電気を流すものを導体、流さない物を絶縁体、その中間のシリコンSiやゲルマニウムGaが半導体です。

金属が導体なのは周知の事実ですが、2000年の白川秀樹博士のノーベル賞受賞で、カーボンファイバー以外の導電性樹脂の存在も公知のものになりました。

白川秀樹博士(1936年8月20日~)「導電性高分子の発見と発展」により、2000年ノーベル化学賞を受賞。

ポリアセチレンに添加剤を加えた導通性樹脂は白川博士の研究で有名ですが、他の樹脂でも添加剤を加えることで導電性を得られることがわかっています。
電気が流れるということは、電子が移動することです。
ポリアセチレンは共役二重結合状態で電子が流れる隙間が有りません。
そこに、異種の低分子を混入することで、隙間を拡げて電子を流れやすくします。
新たな低分子を組合せて電導性や超電導性をもつ樹脂の開発が進行しています。

導電性樹脂の電気抵抗率の代表値比較

母材 添加材 電気抵抗率 (Ωm)
ポリアセチレン 無添加 10*5 ~ 10*9
ヨウ素(l2) 2~5 × 10-2
5フッ化ヒ素(AsF5) 2~3 × 10-3
ポリパラフェニレン 5フッ化ヒ素(AsF5) 5 × 10-2
ポリピロール 過塩素酸(ClO4) 1 × 10-3
ポリチオフェン 過塩素酸(ClO4) 2 × 10-3
5フッ化ヒ素(AsF5) 6.3 × 10-5

電気抵抗率の代表値比較

一般的な区分 物質名 電気抵抗率 (Ωm)
導体 1.59 × 10-8
1.68 × 10-8
2.21 × 10-8
アルミニウム 2.65 × 10-8
1.00 × 10-7
ステンレス 7.2 × 10-7
グラファイト 2.6 × 10-4
炭素 1.64 × 10-5
海水 2.0 × 10-1
半導体 ゲルマニウム 6.90 × 10-1
ケイ素(シリコン) 3.97 × 10*3
絶縁体 10*4 ~ 10*10
純水 2.5 × 10*5
5.0 × 10*5
乾燥木材 10*10 ~ 10*13
ガラス 10*10 ~ 10*14
ポリエステル 10*12 ~ 10*14
硬質ゴム 10*13
雲母 10*13 ~ 10*16
磁器 3 × 10*14
硫黄 2.00 × 10*15
3~10 × 10*15
ポリエチレン 10*16 ~
石英ガラス 7.5 × 10*17

※添加物は不純物・ドーパントと呼ばれることもあります。

導電性樹脂には大きな可能性が有ります。

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