1-1.鋼管

【気体配管入門 目次

1-1 鋼管
1-2 銅管
1-3 樹脂管
1-4 樹脂チューブ
1-5 配管用ネジ
1-6 空気用継手
1-7 メカニカル(差込)継手
1-8 フランジ
1-9 ガスケット
1-10 フィルター・ストレーナー
2-1 ポンプ
2-2 コンプレッサー/圧縮機
2-3 ガスボンベ

1-1 鋼管

1-1-1 管の太さのあらわし方(円管)

内径を基準とした呼び径が使われており、A呼称とB呼称があります。
A呼称は内径寸法に近い値、B呼称は内径のインチ換算の分数表記です。
この「呼び径」は「スケジュール番号」とも呼ばれます。

1-1-2 主な金属管の種類

JIS-G-3441 機械構造用合金鋼鋼管
JIS-G-3444 一般構造用炭素鋼鋼管
JIS-G-3445 機械構造用炭素鋼鋼管
JIS-G-3446 機械構造用ステンレス鋼鋼管
JIS-G-3448 一般配管用ステンレス鋼管
JIS-G-3452 配管用炭素鋼管
JIS-G-3454 圧力配管用炭素鋼鋼管
JIS-G-3455 高圧配管用炭素鋼鋼管
JIS-G-3456 高温配管用炭素鋼管
JIS-G-3457 配管用アーク溶接炭素鋼鋼管
JIS-G-3458 配管用合金鋼鋼管
JIS-G-3459 配管用ステンレス鋼管
JIS-G-3460 低温配管用鋼管
JIS-G-3463 ボイラ・熱交換器用ステンレス鋼管
JIS-G-3466 一般構造用角形鋼管

1-1-3 鋼管

気体配管には配管用鋼管を使用する。 他に構造用鋼管があります。

管の内部に液体・気体などを通して、それを輸送するために用いる鋼管で、鋼管の中でももっともポピュラーな物です。
JISでは「SGP(一般配管用鋼管)=ガス管」、「STPG(圧力配管用鋼管)」など多数の規格があり、中に通す物の性質・温度・圧力などによって、用いられるべき鋼管とその製法が規定されています。
配管用鋼管は、設計や施工に便利なように特定の寸法が「標準寸法」として定められています。
外径についてはA呼称、肉厚は呼称サイズ毎に定められた肉厚を示すスケジュール番号と呼ばれる一連の寸法体型が日本では一般的で、これ以外の外径・肉厚の管は一般には存在しません。
また、長さは2m、3mまたは5.5mが標準であり、それ以外の長さは通常流通していません。

1-1-3-1 鍛接鋼管

JISでは製法記号として「B」が指定されています。
高温に加熱した鋼帯を引き出しながら、幅方向を円形に変形させ、その両端に酸素を吹き付けて瞬間的に温度を高めながら強力に突き合わせることで、両端を接合して管に加工した物です。
主に小径管(概ね呼称サイズ100A=外径113.3mm以下)の製造に用いられ、基本的に炭素鋼のみ。生産性が高く、大量生産に向いています。接合部(シーム)の強度はあまり高くなく、強度を求められる用途には不向きです。また、熱間加工のため、管の内外面にスケール(酸化鉄の皮膜)が付着しており、表面性状はやや劣ります。

1-1-3-2 電縫鋼管

JISでは製法記号として「E」が指定されています。
常温の鋼帯を引き出しながら、幅方向を円形に変形させ、接合直前に局部的に大電流を流すことで瞬間的に接合部を高温状態にして、そのまま押しつけることで両端を溶接(抵抗溶接)させて管に加工した物です。 自己溶接のため、いわゆる溶接材料は不要。電流の流し方などに幾つかの形式があります。
比較的小径からある程度大きな径(最大650A=660.3mm)までの鋼管の製造が可能です。 成形に多数のロールを必要とするため、外径サイズの自由度は低いようです。 炭素鋼が中心ですが、低合金鋼の製造も可能です。 生産性は比較的高いです。 組織が溶融してから接合しているため、比較的シームの強度は高いのですが、シーム周辺部は熱による変性があり、加工時はシームの位置に注意が必要です。 また、接合時にビード(溶接の盛り上がり)が発生するので、用途によってはこれを削り取っています。鋼帯全体を加熱することがないため、表面性状に優れていま。

1-1-3-3 継目無(シームレス)鋼管

JISでは製法記号として「S」が指定されています。
断面を丸形に加工したビレットを高温に熱してそれを「錐揉み」状態にしながら、その中心にプラグという金具を押しつけて穴を開ける方法(マンネスマン法)が一般的です。
マンネスマン法では比較的小径からやや大きい径(日本では通常326.0mm)までの製造が可能ですが、さらに大きな径まで製造できる製法もあります。 外径サイズ数の制約は本来厳しいのですが、各メーカーとも多数のロールや金型を用意して、製造サイズ数を増やしています。炭素鋼からステンレス鋼まで幅広い鋼種の管の製造が可能です。 比較的小ロット品の製造に適した製法です。 マンネスマン法以外では生産性は低いようです。 厚肉品の製造が比較的容易ですが、製法上寸法精度は余りよくないので、使用時は注意が必要です。 素材を高温のまま過酷な圧延を行うので、表面性状は劣ります。

1-1-3-4 アーク溶接鋼管

JISでは製法記号として「A」が指定されています。

1-1-3-4-1 UOE鋼管

厚板を特殊なプレス機で「U」次いで「O」字状に整形して、接合部をアーク溶接した後、内側からエキスパンダーで拡張(E)して所定の寸法に仕上げた鋼管です。 直径1500mm前後まで製造可能で、大径管としては寸法精度が良好です。 比較的大量生産向きです。

1-1-3-4-2 スパイラル鋼管

鋼帯を引き出しながら螺旋状に整形し、両幅をアーク溶接した鋼管です。 螺旋の巻き方を緩やかにすることで、理論上はどんなサイズの管でも製造できます。 ビード長が長く、また螺旋状に発生するため、美観を求める用途には適しません。 大量生産に向いており、主に下水管などの土木用に用いられています。

1-1-3-4-3 板巻鋼管

厚板を巨大なロールやプレス成型で円筒状に整形して、両幅をアーク溶接した鋼管です。 基本的に小ロット生産で生産性は低いのですが、製造可能範囲内なら柔軟な寸法設定が可能です。 タンク用の大径厚肉品など特殊な管の製造に用いられています。

1-1-4 鋼管の選択

■ スケジュール番号方式によるパイプ肉厚寸法

配管用鋼管に用いられるパイプの肉厚は、多くの場合、スケジュール番号方式(Schedule No.方式)の肉厚体系になっています。
JIS G 3452 配管用炭素鋼管
JIS G 3457 配管用アーク溶接炭素鋼鋼管
JPI-7S-14-97 石油呼工業配管用アーク溶接鋼管
非鉄管など
上記の鋼管以外のパイプは、スケジュール番号方式の肉厚体系になっています。
スケジュール番号方式には、ノルマルスケジュール系と、スインスケジュール系とがあり、それぞれ以下のようなスケジュール番号があります。

【スケジュール番号方式】

ノルマルスケジュール系

Sch10、Sch20、Sch30、Sch40、Sch60、Sch80、Sch100、Sch120、Sch160

スインスケジュール系

Sch5S、Sch10S、Sch20S、Sch30S、Sch40S、Sch80S

SSU304TP、SUS304TPY などに代表されるオーステナイト系ステンレス鋼管は、その引張強さが他の一般炭素鋼鋼管に比較して非常に大きく、同一のスケジュール番号の肉厚では強度的に余裕がありすぎて不経済であるため、同一スケジュール番号でも若干肉厚を薄くした番号を設けたものが、スインスケジュール系となります。
上記のように、スケジュール番号のあとに”S”を付けて表しています。

スケジュール番号方式は、使用圧力P と 許容応力S によって肉厚体系を表示するもので、以下の式によって表すことが出来ます。
スケジュール番号(Sch)=(P/S)×10
P:設計圧力(kg/cm2)
S:設計温度におけるパイプ材料の許容応力(kg/mm2)
この計算式を用いれば、使用すべきスケジュール番号を知ることが出来ます。
例えば、パイプにSTPG370-Sを使用し、設計温度を250℃、圧力Pを35kg/cm2とすると、JISから、S=9.5kg/mm2なので、上記スケジュール番号の計算式に当てはめると、
スケジュール番号(Sch)=(35÷9.5)×10≒37
となり、Sch40 のパイプを使用する必要があることが分かります。

■ ウェイト方式(ウエイト系)

この方式は、パイプの単位長さ当たりの重量を目安として、MSS(Manufacturers Standardization Society)が出した配管肉厚のシリーズです。
以下に示す3種類について規定されています。
Std(Standard Weight):スタンダードウェイト
XS(Extra Strong or Extra Heavy):エキストラストロング
XXS(Double Extra Strong or Double Extra Heavy):ダブルエキストラストロング

参考資料の紹介 「JFE社 配管用鋼管カタログ」

参考資料の紹介 「新日鉄住金社 配管用鋼管カタログ」