1-3-1.ガス管
家庭への引き込み管や宅内配管として、昭和50年頃までは亜鉛メッキ鋼管(白ガス管(SPG))が使用されていましたが、現在、都市ガスメーカーは、古くなったガス管のポリエチレン管、樹脂被服鋼管への交換をとり進めています。これは、ポリエチレン管、樹脂被服鋼管では、腐食の心配がないためです。亜鉛メッキ鋼管では、特に埋設されているガス管においては、古くなると亜鉛メッキがなくなり、急速に腐食が進行するため、約20年が寿命といわれています。
更に、ポリエチレン管は、樹脂被服鋼管より地震に強いため、地震の多いわが国においては、より好ましい配管材料といえます。ポリエチレン管が地震に強いのは、次の理由によります。
(1) ポリエチレン(ガス管用は中密度ポリエチレン)の可とう性が高く、地震で揺れても破損しにくい。
(2) 継手部を融着接合(エレクトロフュージョン接合)しているため、引き抜き力がはたらいても抜けない。樹脂被覆鋼管は、継手部が弱い。
(ポリエチレン管の詳細は、「建築・土木用途で使用されるプラスチック材料の解説(1)」を見てください。)
ポリエチレン製のガス管は、平成10年に、それまでの緑色から世界標準の黄色に変更されました。大阪ガスでは、阪神・淡路大震災の教訓から、新設の低圧導管は、ほぼ全てポリエチレン管を採用しています。2006年度には、低圧ガス管でのポリエチレン管の比率は、約30%になっています。
三菱樹脂では、このようにすぐれた特性を持つポリエチレン製ガス管をガス用ヒシパイプPE、ガス用ヒシパイプPE継手として販売しています。JIS K 6774,6775-2,6775-3規格品です。
1-3-2.水道管
塩ビ管が、川崎市で初めて水道用として採用されたのは、1953年です。長浜ゴム工業(現三菱樹脂)製の硬質塩ビ管でした。1956年にJIS K6742が制定され、塩ビ管が広く用いられるようになりました。現在では、塩ビ管の約15%が、水道管用です。水道管に用いられる塩ビは、硬質ポリ塩化ビニルです。(塩ビ管の詳細は、「建築・土木用途で使用されるプラスチック材料の解説(2)」を見てください。)三菱樹脂では、水道用塩ビ管、継手をヒシパイプ水道用、ヒシTS継手として、各種部材を取り揃えて販売しています。呼び径150以下はJIS K6742(水道用硬質ポリ塩化ビニル管)、K6743(水道用硬質ポリ塩化ビニル管継手)規格品です。
最近、耐震性のよさから注目されているのが、ポリエチレン管です。水道用(0.75MPa)は高密度ポリエチレンで、ガス用(0.3MPa)の中密度ポリエチレンとは異なりますが、いずれも可とう性が高く、継手部を融着接合(エレクトロフュージョン接合)していることとあいまって耐震性が高く、1995年の阪神・神戸大震災でも被害はほとんどありませんでした。1997年にはJWWA K 144(日本水道協会規格)が制定され、使用にはずみがつきました。水道配水用ポリエチレン管は青色です。プラスチックス材料は、一般的に太陽光線によって劣化しますので、埋設配管として使用されるのが普通です。
三菱樹脂では、JWWA K 144, 145規格品である水道配水用ポリエチレン管「ヒシパイプHPPE」と、各種継手を販売しています。
1-3-3.その他の身近な配管
塩ビ管で、もっとも使用量が多いのが、戸建て・集合住宅などの排水設備向けで塩ビ管の約50%弱を占めます。次に多いのが、下水道用で焼く約25%弱で、水道用を合わせると約85%となります。
塩ビ管の最近の動きとして、塩ビのリサイクル使用があります。1991年のリサイクル法公布等に対応して、塩化ビニル管・継手協会では、1998年にAS58(排水用硬質塩化ビニル管)、2000年にAS59(建物排水用リサイクル発泡三層硬質塩化ビニル管)、2001年にAS62(下水道用リサイクル三層硬質塩化ビニル管)を規格化しました。これらは、2006年にJIS K 9797(リサイクル硬質ポリ塩化ビニル三層管), JIS K 9798 (リサイクル硬質ポリ塩化ビニル発泡三層管)として規格化されました。
三菱樹脂では、JIS K 9797, AS 62規格品である「ヒシパイプリサイクル三層管」及び各種継手、JIS K 9798, AS 59規格品である「ヒシパイプ発泡三層管」を販売しています。
この他の身近な配管として、温水用配管があります。温水用の樹脂配管としては、架橋ポリエチレン管(JIS K 6769 水道用架橋ポリエチレン管はJIS K 6787)とポリブテン管(JIS K 6778)があります。
三菱樹脂では、架橋ポリエチレン管「エクセルパイプシリーズ」を販売しています。主な用途は、給水給湯、温水床暖房,融雪システム、温泉引湯等があります。