1-7.メカニカル(差込)継手

 「継ぎ手」とは、「二個の機械部品をつなぎ合わせる部品」を意味します。

管継手

フランジ継手、印籠継手、ユニオン継手、カップリング(Coupling)、メカニカル継手

流体配管用の継手は流体継手(クラッチとしての流体継手(hydraulic clutch)とは別)と呼ばれることもあり、そのようなものはカップリング、フィッティング(Fitting)、ルアーロック、あるいは単純に継手、ジョイント、コネクターといった様々な別称を持つ。さらにワンタッチタイプの継手は、クイックディスコネクト(Quick Disconnect)、クイックカップリング(Quick Coupling)、迅速継手などの名称で呼ばれ、特に押しボタン式継手はサムラッチ(Thumb latch)式と呼ばれるケースがあります。

メカニカル継手

メカニカル継手(Mechanical Joint )とは、機械的(メカニカル)な方法により接続する管継手のことです。主に水道の配管において使用されています。差込継手とも呼ばれます。

特徴は、ゴムシール(パッキン)等の密着によって接続部の止水を行うことで、ねじ切りや溶接等が不要となり、施工が省力化出来ます。既設配管における漏水修理や取り出し分岐配管の増設などといったメンテナンス工事も容易になります。

構造

基本的なメカニカル継手(チーズ1/2。左から本体、パッキン、ワッシャー、固定用リング、ナット)。この他にも様々な構造のものがあります。

本体

シール(パッキン) – 接続部の止水を行う。ナットを締め付けることで管との隙間が密閉されます。耐久性が重要となります。
座金
固定用リング – 管に食い込んで抜けるのを防止します。
ナット – 規定のトルクで締め付けるとシール(パッキン)と固定用リングへ力が伝わり継手と配管が接続されます。

種類

ソケット – 直線
エルボ – 90度または45度
チーズ – T字
オスアダプター – 一方がおねじになっています
メスアダプター – 一方がめねじになっています

既設配管への施工

継手の中を配管が完全に貫通出来る構造のメカニカル継手(中通し可能なタイプ)を用いると、固定された既設配管の分岐や漏水修理を容易に行うことが出来ます。

分岐配管の増設(チーズ(T)を取り付ける)

メカニカル継手(中通し可能タイプ)による分岐配管の増設方法。

必要なもの

中通し可能なメカニカル継手(チーズ、ソケット各1個ずつ)

手順
  1. 分岐させたい箇所の配管をある程度の幅で切り取ります。
  2. 既設配管の切り口に、メカニカル継手のチーズとソケットをそれぞれ差し込みます(次の作業の邪魔にならないくらいまで挿入)。
  3. 切り取った配管の長さを調節し(不要分を切り落とす)、既設配管と一直線に並べます。
  4. チーズとソケットを移動し、ナットを規定のトルクで締め付けて接続します(下図参照)。

中通し可能なメカニカル継手

漏水の修理(漏水配管の交換)

必要なもの

中通し可能なメカニカル継手(ソケット2個)
交換する長さの新品の管

手順
  1. 漏水付近の配管を切り取ります(長さは余裕をとって切り取った方がよい)。
  2. 既設配管の切り口に、それぞれメカニカル継手のソケットを差し込みます(次の作業の邪魔にならないくらいまで挿入)。
  3. 新品の管の長さを調節し(不要分を切り落とす)、既設配管と一直線に並べります。
  4. 各ソケットを移動し、ナットを規定のトルクで締め付けて接続します(分岐配管の増設の場合と同じ)。

 

※ メーカーごとに配管を挿入する長さや締め付けトルク等が規定されているのであらかじめ確認をします(メーカーのHP等に掲載されている場合が多い)。管と継手が異種金属(腐食の原因)にならないようにします。
※ T型継手は、「丁字(ていじ)」が訛った「チーズ」と呼ばれることもあります。