2-1.ポンプ

2-1-1 ポンプとは

ポンプとは、江戸時代にオランダ語のpompから,長崎の出島で輸入された言葉といわれています。
ポンプ-気体配管入門

英語のpump,
ドイツ語のPumpe,
フランス語のpompe,
イタリア語のpompa
スペイン語のbomba
ポルトガル語のbomba、

オランダ語でも中世ではpompeです。
16世紀以前の中世英語はやはりpumpe/pompe
印欧語族はみな同系です。

もともとこの語は,ポンプで水を吸い上げる時の音からきた擬音語です。

やはりポンプの基本はピストンポンプでしょうか?

2-1-2 ポンプの種類

1)容積形ポンプ

一定の空間容積にある液を往復運動または回転運動にて容積変化させ液体にエネルギーを与える機械です。容積形ポンプ全般に言える特徴としては、定量性が良く、吸い上げ・押し上げ揚程が比較的高いものが多いと言えます。食品や薬品など数多くの業界で使われているポンプです。

1-1)往復型

1-1-1)ピストンポンプ: ピストンの往復運動で流体を輸送するものです。

1-1-2)ダイヤフラムポンプ: ダイヤフラムの容積変化で流体を輸送するものです。液体を攪拌せずに定容積の輸送が可能。薬品注入などに用いられます。

1-1-3)プランジャーポンプ: プランジャーの往復運動で液体を輸送するものです。

1-2)回転型

1-2-1)ギヤポンプ: 歯車のかみ合わせをつかう。粘度の高い液体の輸送に使用されます。内接式のトロコイドポンプはエンジンのオイルポンプで一般的です。

1-2-2)ねじ(スクリュー)ポンプ: ねじ型の回転子で汚泥などの高粘度で異物を含んだものを輸送します。
揚水用の水ねじ(アルキメディアン・スクリュー)は彼がアレキサンドリアに留学していた際の発明で、きわめて効率的に揚水を行うことができました。 水ねじはねじ構造を人類が初めて活用した例と言われ、東洋では独自にねじを発見・発明することはできなかったといわれています。

1-2-3)仕切板(ベーン)ポンプ: ケーシングに偏心して取り付けられた回転子に取り付けられた可動ベーンで液体を輸送します。攪拌を嫌う液体に適します。分解清掃も容易です。自動車のパワステポンプとして一般的です。

2)ターボ形ポンプ

2-1)遠心: 半径方向に遠心力で液体に圧力を与えます。

2-1-1)渦巻きポンプ: 渦巻き羽根で遠心力により半径方向に圧力を与えるものです。ポンプとしては最も多く製作・納入されている形式です。水道・下水道の送水ポンプから化学プラント用のプロセスポンプまで、多様な用途に使用されています。軸受の個数やケーシングの分割方法などにより、さらに細かく分類されます。

2-1-2)ディフューザポンプ: 渦巻き羽根の外側の固定案内羽根で高圧力を得られるようにしたものです。高圧の小水量の給水ポンプに用いられます。渦巻ポンプに比べ効率が高くなりますが、効率の高い運転範囲は狭くなります。運転圧力の変動が少ない箇所に適しています。

2-1-3)カスケードポンプ(うず流れ・粘性・摩擦・再生)多数の小さな溝の刻まれた円盤状の羽根をケーシング中で高速回転させ、液体をほぼ1回転させることにより高圧を得るものです。小流量・高圧に適します。

2-2)斜流: 斜め方向に液体を吐き出すものです。遠心ポンプと軸流ポンプの特性を併せ持ちます。

2-2-1)渦巻き斜流ポンプ:渦巻ケーシングを有しており、比較的高揚程に適しています。下水道用の汚水ポンプに多い形式です。

2-2-2)ディフューザ斜流ポンプ:案内羽根を有しており、流体はインペラの吸込方向と同方向に吐出されます。どちらかと言えば、大容量のポンプに適しています。河川排水ポンプや雨水排水ポンプに多い形式です。

2-3)軸流: 軸方向に液体を吐き出すものです。低揚程・大流量に適します。一般に低流量・高揚程側での運転はできません。 斜流ポンプに比べケーシングを小さくできるので、安価です。 吸込性能は他形式のポンプに比べると悪く、キャビテーション(液体が気化し元に戻るときに衝撃が起こる現象)に注意を要します。ポンプ効率も低いです。 河川排水ポンプに適しています。一般的に、全揚程は5m程度まで使用可能です。

3)特殊ポンプ

3-1)噴射ポンプ(エジェクタ・インジェクタ): 流体を吹き込むことにより、回りの液体を巻き込んで輸送するものです。内部に弁などの整備の必要な機器がありません。

3-2)気泡ポンプ: 気体を吹き込んで、気泡の浮上で液体をくみ上げるものです。同義語:エアーリフトポンプ。

3-3)水撃ポンプ: 管内で液体を自由落下させ急に弁を閉め、水撃作用で最初より高い位置に液体をくみ上げるものです。位置エネルギーと弁の開閉のエネルギーだけで済みます。 概ね効率は10%です。

3-4)ナッシュポンプ :真空ポンプとして用いられます。楕円形の液体の入ったケーシング内でインペラーを回転させ液面と回転子間にて圧力変化を持たせ、主に気体を吸い込むのに用いられます。

3-5)エルモポンプ :ケーシングが円形にて基本原理はナッシュポンプに同じです。

3-6)スクィーズポンプ:弾力のあるチューブを外部からローラーで潰し、媒体を絞り出すように作動します。コンクリートポンプ車や人工心肺などに使われます。

3-7)ナトリウムポンプ:生物の細胞膜にある陽イオンを移送する仕組みです。

3-8)ヒートポンプ:外部から電気・熱などの駆動エネルギーを与えて、低い温度の部分から温度の高い部分へ熱を移動させる装置です。

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