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2-2.コンプレッサー/圧縮機

コンプレッサー/圧縮機は、気体を圧縮する流体機械のうち、吐き出し圧100kPa以上かつ圧縮比2以上のものをさします。
ポンプに近い構造物です。

コンプレッサー/圧縮機

2-2-1 ターボ圧縮機

気体に働く運動エネルギーにより圧力を与えます。

2-2-2 遠心式圧縮機

外周部へ吐き出すことで圧力を与えます。
 特徴 大容量に適しています。
 高圧縮比には不向き。

主な用途 大型冷凍機

 間欠燃焼エンジンの排気過給機(ターボチャージャー)

 2-2-3 軸流式圧縮機

軸方向から吸い込み軸方向に圧力を与えます。
 
回転体の円筒状に植えられた動翼と、静翼の翼列とで一組の段となります。動翼は揚力を用いて気体を圧縮し、静翼は後方の翼列の流入角方向に気体を転向させます。
 特徴 遠心圧縮機に比しても大容量です。
 単段では圧縮比の低い送風機ですが、多段構成により高圧縮比を得ることができます。

主な用途 連続燃焼エンジン(ジェットエンジン)の空気圧縮機

高炉送風用圧縮機

2-2-4 容積圧縮機

機構内の体積の変化により圧力を与えます。

2-2-5 往復圧縮機(レシプロ圧縮機)

ピストンの往復運動によるシリンダーの容積変化で圧縮します。
 特徴 高圧縮が可能。
 機種が豊富。
 大容量に適しません。
 ピストンの往復や弁の開閉による振動と騒音が大きい。
 密閉式でないならば修理が容易

主な用途 低温用冷凍機

 高圧用空気圧縮機 自動車用(エアブレーキ、エアサスペンション、旧式のクーラー)
 鉄道車両用電動空気圧縮機

2-2-6 斜板式圧縮機

ピストンの往復運動で圧縮する原理はレシプロ式と同様ですが、ボアの小さなピストンを同心円上に多数備え、回転軸に取り付けられた斜板がカムとなり、ピストンをストロークさせます。ピストン配置は斜板の片側だけのものです(画像参照)と両側のものですとがあります。
 特徴 軽量・コンパクト
 往復部品が小さく、圧縮時のトルク変動も少ないため、振動と騒音を抑えられる。
 回転数の他、斜板の角度を可変とすることでも吐出量の増減が可能。

主な用途 カーエアコン

静油圧式無段変速機

2-2-7 ダイアフラム式圧縮機

往復圧縮機のバリエーションで、ピストンの代わりにダイアフラムを用いたものです。往復式圧縮機と特徴が似ていますが、ダイアフラムが主に金属性材料の場合高圧用・危険なガスを取り扱える利点があります。
 
また簡便な低圧用圧縮機、危険なガス用の圧縮機として、直接ピストンでダイアフラムを動かし、このダイアフラムにゴムやエンジニアリングプラスティックを用いたものもダイアフラム式圧縮機と呼びます。

2-2-8 ツインスクリュー圧縮機

2つのスクリュー型の回転体の溝を利用し体積変化させるものです。開発者のアルフ・リショルムにちなんでリショルム・コンプレッサともいいます。
 特徴 遠心型と比較して高圧縮比が可能です。
 往復圧縮機と比較して振動が少ない。
 給油式では大量の潤滑油を圧縮部に噴射させながら運転することで、吐き出しガスの温度を下げることが可能。無給油式では、隔離して機構冷却を行うが、ガス温度の冷却はさほどよくない。
 無給油のものですも製作可能。最近では潤滑油の代わりに水を利用した水潤滑方式が伸びている。
 
主な用途 食品・半導体素子製造プラントなどの清浄圧縮空気製造 : 無給油のものが使用されます。他の用途でも近年の環境保全や製品の品質向上を狙う場合は、無給油が主流になりつつあります。
 中型冷凍機
 大型空気圧縮機
 過給器
 建設工事に用いる空気源用圧縮機(騒音振動が公害になるため)

2-2-9 シングルスクリュー圧縮機

1つのスクリュー型の回転体と2つの樹脂製ゲートローターを利用し体積変化させるものです。 1960年にフランスのベルナール・ジメルヌ (Bernard Zimmern)が発明しました。
 特徴 ゲートローター部が水平対向で平衡しているため、理論上は軸受けにスラスト荷重が発生しない。
 遠心型と比較して高圧縮比が可能です。
 往復圧縮機と比較して圧縮機本体の振動が少ない。
 往復圧縮機と比較して吐き出し圧力の脈動が少ない。
 大量の潤滑油を圧縮部に噴射させながら運転することで、吐き出しガスの温度を下げることが可能。
 水潤滑式の制作が可能。

主な用途 中型冷凍機

中型空気圧縮機

2-2-10 スクロール圧縮機

1対の同一形状の渦巻き体を、一方を固定し、もう一方を円運動(相対的には揺動運動)させることにより、圧縮室の体積を小さくし、圧縮します。 1900年代にはヨーロッパ・アメリカで特許出願されていました。材料・加工技術の進歩により製品化が可能となり、一般空調用は1980年代に日本の日立製作所が最初に、また同年、自動車空調用として日本のサンデンが実用化しました。
 特徴 往復圧縮機と比較して部品点数が少ない。
 停止時にガスの逆流で逆回転する恐れがありますので逆止弁が必要。(例外があります。)
 インバータによる可変速に適する回転数-トルク特性であります

主な用途 エア・コンディショナー

車両用冷凍機
自動車用過給器(フォルクスワーゲン・Gラーダ en:Scroll-type supercharger)
小型空気圧縮機
 
欠点 吐出圧力が常に高い運転状態で使用すると逆止弁が破損しやすくなる
 常に連続して金属面同士が擦れるので、構造によっては金属粉・樹脂粉が出やすく音も甲高い性質の物となります。但し比較的低周波のため、音響低減はツインスクリュー構造と比較するとかなり容易です。

2-2-10 ロータリー圧縮機

回転するピストンとシリンダーの組み合わせにより圧縮します。

2-2-10-1 ロータリーピストン型

高圧側と低圧側とを仕切る羽根がシリンダー側に取り付けられピストン側と接してます。 発明者のPhilander Roots と Francis Marion Roots(ルーツ兄弟)の名をとって、ルーツ式・ルーツ・ブロワともいいます。効率が良いため一般に使用されているます。(出典:ロータリ・ブロワ(ルーツ式) 日本産業機械工業会)
 特徴 スクロール圧縮機と比較して小型軽量で製作が容易なため、より小容量に適する。
 圧縮機にはガス温度が高めになるため無給油式の場合アフタークーラーが必要。
 圧縮比が高く取りにくい。

主な用途 家庭用エア・コンディショナー

小型除湿機
自動販売機用冷凍機
携帯型空気圧縮機

2-2-10-2 スライドベーン型

ローター側面に複数取り付けられた羽根(ベーン)が、ハウジング内壁と接しています。 ロータリーベーン型、回転翼式ともいいます。
 特徴 ロータリーピストン型と同様に小型軽量で製作が容易なため、小容量に適する。
 
欠点 内部の弁板の精度が悪いと引っかかりが生じてロックする(永久破損)
 非常に高い精度が要求される
 
主な用途 ロータリーピストン型に同じ
 パワーステアリング用ポンプ

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