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温度調節器を使用する上で一番大切な単位である「温度」のことを探ってみましょう。
物体の寒暖の度合いを定量的に表そうという試みを初めて行ったのはガリレオ・ガリレイといわれています。
「定量化」しなければ、再現性は得られません。 とても大切なヒラメキです。
<ガリレオ・ガリレイ>
1592年 – ガリレオ・ガリレイが球付のガラス柱を水面に倒立させて、球部を暖めることによって水面が変化することを示す空気温度計を作りました。 ただし、これには異説もあり、ガリレオの友人サントリオ・サントリオ(Santorio Santorio,1561-1636)が発明したという説もあります。
残念ながら、 ガリレイの作った温度計は気圧などの影響を受けてしまうために実際に温度を定量的に計ることは出来ませんでした。
ダンチヒ生まれの、ガブリエル・ダニエル・ファーレンハイト( Gabriel Daniel Fahrenheit :1686-1736)は、それまで一般的に使われていたアルコール類を使った液柱温度計の不正確さを改良、純度の高い水銀を使用する精密な水銀温度計を1714年に完成。1717年にはアムステルダムで商業的な生産を行いました。
< 華氏 ファーレンハイト >
彼の功績は華氏温度計の目盛に名前を残しています。 華氏とは、ファーレンハイトの中国語の音訳「華倫海特」の略称です。
フランスのルネ・アントワーヌ・フェルショー・ド・レオミュール(René Antoine Ferchault de Réaumur, 1683 – 1757)は1731年に水の凝固点と沸点の間を80等分する、レオミュール度(列氏)目盛を発明しました。
< 列氏 ド・レオミュール >
スウェーデンの天文学者アンデルス・セルシウス(Anders Celsius、1701 – 1744)は1742年にレオミュール温度計の目盛りを、80分割から100分割に提唱しました。これが、現在の摂氏温度計になりました。摂氏とは中国語で書いたセルシウスの中国語の音訳「摂爾修斯」の略称です。
< 摂氏 セルシウス >
ウィリアム・トムソン(William Thomson、ラーグスのケルヴィン男爵(Baron Kelvin of Largs)、1824 – 1907)は1848年に、「温度が物体中のエネルギー総量を表す」という絶対温度の概念を導き、この単位は後に彼にちなんでケルビン(K)と呼ばれるようになりました。
< ケルビン男爵 >
ケルビンは、「すべての分子の運動が停止する絶対零度」を 0 ケルビン(K)とし、
1 ケルビンを水の三重点の熱力学温度(0.01℃)の 1/273.16 倍としました。
これは、元々はセルシウス度の値から273.15を減じた(絶対零度を0とした)温度目盛りとして定義されたものでしたが、
セルシウス度(摂氏) C とケルビン K の関係
C = K − 273.15
K = C + 273.15
2018年の第26回国際度量衡総会に決議承認されたケルビンの定義変更を含む新しいSIは日本の計量法第3条の規定に基づく計量単位令として2019年5月20日に施行されました。
新しいケルビンの定義
単位s−2·m2·kg K−1(J·K−1 )による表現で、ボルツマン定数kの数値を6977138064900000000♠1.380649×10−23と定めることによって確定されます。