3-2.抵抗加熱のヒーターの特長

抵抗加熱は次の特長があり、家庭用・工業用ともに、最も普及しています。

1.電気エネルギーが100%熱になるので効率が良い。
2.熱量が電力量と等しいので、計測・管理が簡単。温度コントロールも正確にできる。
3.普通の電気がそのまま使用できる。
4.低温から高温まで、広い温度範囲で使用できる。
5.各種ガス、真空など、各種雰囲気でも使用できる。

抵抗発熱体の種類

(1) 鉄-クロム-アルミ系

大気中など、酸化雰囲気で使用すると、表面に酸化アルミが形成され、最高 1400℃まで使用できるものがあります。電気抵抗が大きく、温度係数も小さく安定しています。高温では強度が低下します。

(2) ニッケル-クロム系

表面に酸化クロムが形成され、最高 1200℃まで使用できるものがあります。電気抵抗が大きく、温度係数も小さく安定しています。高温でも強度が高く、雰囲気によって、(1)より高い温度でも使用できます。

(3) 白金、モリブデン、タンタル、タングステン

(1)、(2)が使用できない高温で使用します。使用雰囲気を選ぶ、電気抵抗の温度係数が大きい、高価格 などで、使用は特殊用途に限られます。

(4) 炭化珪素、モリブデン-シリサイト、カーボン

金属発熱体が使用できない、高温でも使用できます。変形加工ができない、使用雰囲気を選ぶ、電気抵抗の温度係数が大きい、などで、使用は特殊用途に限られます。

(5) セラミック混合系

セラミックヒーターの発熱体は、ベースとなるアルミナや窒化珪素のセラミックスに混合内蔵され、同時焼結される事により一体化されている為、外気から完全に遮断されることにより、保護・絶縁されています。

●裸発熱線と、シーズヒーターの比較

抵抗発熱体の中で、(1)の鉄-クロム-アルミ系発熱体、(2)のニッケル-クロム発熱体 が、もっとも広く使用されています。裸線のコイルを使用した電気コンロ、ヘアードライヤーなどでは、直接発熱体が目に見えます。これに対して、シーズヒーターというのは、発熱体を金属シース(パイプ)に入れ、その間を絶縁物で満たしたものです。

■裸発熱線

寿命 発熱体が外気に触れているので、腐食性ガスやほこりなど、雰囲気により短くなる。
発熱量 雰囲気により、発熱体が腐食して、発熱量が低下していく。
絶縁性 絶縁されていないので、碍子などで、絶縁する必要がある。
安全性 発熱体に水などがかかると、漏電する。
取付け 碍子で絶縁し、発熱体が他の部分に触れないようにする必要がある。

■シーズヒーター

寿命 シーズで発熱体が保護されているので、雰囲気にかかわらず長寿命。
発熱量 長時間使用しても、発熱量がほとんど変化しない。
絶縁性 シーズと発熱体が絶縁されているので、直接取付けることができる。
安全性 発熱体が露出していないので、漏電の心配がない。
取付け シーズが絶縁されていて、曲げ加工できるので、取付けることが容易。

■セラミックヒーターの種類

●板状タイプ

●棒状タイプ

●筒状タイプ

寿命 抵抗体が酸化されず、断線や経時変化が少ない。
発熱量 高ワット密度が得られ、熱効率が良く、複数の容量の発熱体を埋設する事が可能。
昇温 スピードが速く、任意の温度分布が得られる。
絶縁性 水・灯油・金属の直接加熱が可能。
安全性 電気絶縁性、耐電圧性に優れています。また、耐酸化性、耐薬品性に優れている。
取付け 自由自在にデザインできる。