2-11.露点と露点計

1.露点とは

露点とは、水蒸気を含む空気を冷却したとき、凝結が始まる温度です。

露点温度ともいわれます。
単位はセルシウス度℃やケルビンKが用いられます。
表記記号は、学術分野においてはTd、工学や実用ではDPが用いられます。

また、気温が0℃以下の時の露点は、凝結した水がさらに凝固するか、水蒸気から直接昇華するかのどちらかで氷へと変化する温度、つまり霜を生じる温度であるため霜点ともいわれます。

露点温度計により直接測定を行なうか、気温と相対湿度から水蒸気圧(湿り空気中の水蒸気分圧)を求め、その水蒸気圧を飽和水蒸気圧とする温度を求めることで計算できます。

相対湿度が100%の場合はその温度が露点です。

露点の算出式は下記の方法があります。

(1-1) JIS Z 8806『湿度—測定方法』の飽和水蒸気圧表などを用いて近似的に算出

t[℃] : 気体の温度
RH[%] : 相対湿度
est   : t[℃]の飽和水蒸気圧
et   : t[℃]水蒸気圧

露点と露点計

露点と露点計

例えば気体の温度が10℃、相対湿度60%の時は表より15度の飽和水蒸気圧1228.1Paより、水蒸気圧は736.9Paであることから、それに飽和水蒸気圧736.83と最も近い2.6℃が露点温度の近似値となります。

※観測条件

t[℃] : 気体の温度 10℃
RH[%] : 相対湿度 60%

※計算で求める部分

est : 10℃の飽和水蒸気圧 1228.1Pa x 0.6 = et : 10℃水蒸気圧 736.9Pa

※表で求める部分

Td : 露点 2.6℃ = est : 2.6℃の飽和水蒸気圧 736.83Pa

(1-2) 湿り空気線図を用いて近似的に算出

※ 前項2-10.湿り空気線図を参照

(1-3) コンピューターによる計算

2 初期の露点計

ウイルヘルム ランブレヒト(Wilhelm Lambrecht 1834-1904、ドイツの電気化学者、気象機械技術者)

ウイルヘルム ランブレヒト(Wilhelm Lambrecht 1834-1904、ドイツの電気化学者、気象機械技術者)

ソシュールの毛髪湿度計を改良した、ドイツのランブレヒトが1875頃に毛髪湿度計「ポリメーター」を考案しました。

「ポリメーター」は毛髪10本程度を束ねたもので、温度計とセットになっており相対湿度と露点温度も求められ、水蒸気分圧も求めることが出来ました。

上記の(1-1)の原理です。

「ポリメーター」

「ポリメーター」

 

 

「ランブレヒトの露点計 初期型」

「ランブレヒトの露点計 初期型」

 

 

現在の「ランブレヒトの露点計 Thermo Hygrometer (198)」

現在の「ランブレヒトの露点計
Thermo Hygrometer (198)」

 

 

3 現代の露点計

3-1 毛髪式露点計

センサーは湿度によって伸縮する女性の毛髪を利用します。
計算は付属の表で行います。
高精度とは言えませんが、安価で小型です。

3-2 静電容量式露点計(高分子式)

高分子式の静電容量式センサーは、周囲の気体中の水分に反応する誘電体の層をもつコンデンサーです。
この誘電体の層は、理想的には周囲の水分量と同じ比率で水分を吸収するので、これを利用して水分量を検知しています。
長所は、反応速度が速く、長期安定性があります。
短所は、-80℃Td/f以下の低露点領域での測定できません。
経年変化の影響を小さくするための自動校正機能や、結露対策としてセンサーに熱をかけ水分や溶剤を飛ばすセンサーパージ機能を備えたタイプもあります。
然し、経年変化や、水分や溶剤の影響をうけます。

3-3 静電容量式露点計(酸化アルミ)

酸化アルミ式の静電容量式センサーは、センサーの材質に酸化アルミを使用しています。
長所は高分子よりも安価で低水分領域まで計測可能で、露点計の標準型として幅広い分野に用いられていました。
短所は応答速度が遅いことです。
経年変化の影響を小さくするための自動校正機能や、結露対策としてセンサーに熱をかけ水分や溶剤を飛ばすセンサーパージ機能を備えたタイプもあります。
然し、経年変化や、水分や溶剤の影響をうけます。

3-4 冷却式露点計自動平衡型

冷却式露点計は、観測面を冷却していき、結露を生じた時の温度を測定します。

低湿度の測定に適する。冷却には、冷凍機・ペルチェ効果による電子冷却等が用いられます。
温度の測定には、熱電対・抵抗温度計等が用いられます。
露・霜の量は、光センサーで表面反射光、電離箱を用いてα線吸収量、水晶振動子を用いて共振周波数、等の変位を測定します。
観察面の付着量の増減がない平衡状態の温度を測定するため高精度です。

3-5 塩化リチウム露点計

塩化リチウム水溶液を塗布した膜の表面における水蒸気圧が周囲の気体の水蒸気圧と等しくなる温度を測定します。

グラスウールで覆った金属管に、1対の加熱用電熱線を巻き、その上から塩化リチウム水溶液を塗布します。
これに交流電圧を印加して温度を上昇させていくと、水分の蒸発にともなってグラスウール内のイオンが減少していき、電流がほとんど流れなくなります。
通電をやめると、吸湿性の高い塩化リチウムは再びイオン化し、電流が流れるようになります。
このとき、グラスウール表面の水蒸気圧と周囲の気体の水蒸気圧とが等しくなっていることを利用して露点を求めます。
温度の測定には電気式温度計を用い、気温の測定の場合と異なり、抵抗体には白金のほかにニッケルを使用することもできます。
気象観測用として許容される器差は、湿度5%(感部のみについて湿度3%)です。

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