4-1.空気と窒素

空気と窒素

熱風乾燥で使用する媒体としての空気と窒素の性能を確認します。

4-1-1.空気の役割

常温、常圧の空気はほぼ理想気体として振る舞い、t [℃]における空気の密度ρ [kg/m3]は、大気圧をP [atm]、水蒸気圧をe [atm]とすると、

空気の役割

◎コストが安い
◎配管漏れしても安全
◎熱源として材料を温める
◎気体境膜を薄くする
◎蒸発した水蒸気を外部に搬送する(キャリアガス)
○通常環境での空気は水蒸気を数%含み、水蒸気の効果がプラス方向に作用する。
○酸素が加熱コイルのアルミ成分と結合し、表面に耐蝕被膜を形成しコイルの寿命延長に作用する。
×空気は酸素を含み、高温になると酸化が促進される。

4-1-2.窒素の役割

熱風加熱に使用する窒素のメリットデメリットは

◎熱源として材料を温める
◎無酸素環境を作り出し発火を防止する
◎無酸素環境を作り出し酸化を防止する
◎無水蒸気環境を作りだし、加水分解や水酸基結合を防止する
◎気体境膜を薄くする
◎蒸発した水蒸気を外部に搬送する(キャリアガス)
○漏れても比較的安全です
×液体窒素を気化して使用する場合は常温との差分だけ加熱効率が低くなります
×酸素が無いので加熱コイルの表面に耐蝕被膜を形成されず、空気と比較するとコイルの寿命は短くなります

窒素は無酸素であることから、溶剤を含む可燃性の物質の乾燥に適合します。

4-1-3.空気の密度

空気を窒素4:酸素1の気体と定義すると、窒素分子量28、酸素分子量32なので、空気の分子量は28.8になります。

28.8 = (28 x 4/5 + 32 x 1/5 )

空気の密度を求める計算 (気圧1atm、室温20℃)

圧力p=1atm=101.3×10^5Pa
温度t=273+C
空気V=1m^3
モル数n=mol
気体定数R=8.31J/mol・K
理想気体の状態方程式=pV=nRT
空気の密度ρ=

n = pV/RT = 1.103x10^5Pa x 1m^3 / 8.31J/mol・K x (273+20)K = 41.6mol

ρ= (28.8 x 41.6)g/m^3 = 1200g/m^3 = 1.2g/ℓ

4-1-4.特性一覧表

空気の構成物質

成分 化学式 体積比 割合 質量割合 気体密度 比重
窒素 N2 78.084 0.75520000 1.251 1.105
酸素 O2 20.9476 0.23150000 1.429 0.967
アルゴン Ar 0.934 0.01280000 1.78 1.38
二酸化炭素 CO2 0.039 0.00046000 1.977 1.54
ネオン Ne 0.001818 0.00001200 0.9002 0.69
ヘリウム He 0.000524 0.00000072 0.1785 0.13
メタン CH4 0.000181
クリプトン Kr 0.000114
二酸化硫黄 SO2 0.0001
水素 H2 0.00005
一酸化二窒素 N2O 0.000032
キセノン Xe 0.0000087
オゾン O3 0.000007
二酸化窒素 NO2 0.000002
ヨウ素 I2 0.000001

概略空気組成

成分 化学式 体積比 割合 質量割合
窒素 N2 0.79 0.768
酸素 O2 0.21 0.232

 

 成分 ファンデルワース定数 分子量 ガス定数 定圧比熱 定積比熱 比熱比
  a / Pa m6 mol−2 b / m3 mol−1 g/mol R (J/g・K) Cp (J/g・K) Cv (J/g・K) γ
空気 135 × 10−3 36.6 × 10−6 28.967 0.28703 1.005 0.718 1.399
窒素 N2 141 × 10−3 39.2 × 10−6 28.013 0.29680 1.039 0.743 1.399
酸素 O2 138 × 10−3 31.9 × 10−6 31.999 0.25984 0.914 0.654 1.398
水蒸気 H2O 553 × 10−3 33.0 × 10−6 18.015 0.46152 4.186 3.147 1.33
ヘリウム He 3.45 × 10−3 23.8 × 10−6 4.003 2.07727 5.240 3.16 1.66
アルゴンAr 136 × 10−3 32.2 × 10−6 39.948 0.20813 0.523 0.32 1.68
水素 H2 24.8 × 10−3 26.7 × 10−6 2.016 4.12449 14.250 10.12 1.408
一酸化炭素CO 151 × 10−3 40.0 × 10−6 28.010 0.29684 1.041 0.74 1.4
二酸化炭素CO2 365 × 10−3 42.8 × 10−6 44.010 0.18892 0.819 0.63 1.3
アンモニアNH3 422 × 10−3 37.1 × 10−6 17.031 0.48821 2.060 1.57 1.31
メタンCH4 238 × 10−3 42.8 × 10−6 16.042 0.51828 2.160 1.63 1.32
※0℃/1atm
比熱=1kgの物質を1Kだけ上昇するために必要な熱量

空気の性質

温度条件 密度 定圧比熱 粘性率 動粘性率 熱伝導率 熱拡散率 プラントル数
T ρ Cp η ν λ α Pr
K kg/m3 kJ/(kg・K) μPa・s mm2/s mW/(m・K) mm2/s
100 3.6109 1.072 7.1 1.97 9.22 2.38 0.826
200 1.7679 1.009 13.4 7.58 18.1 10.15 0.747
300 1.1763 1.007 18.62 15.83 26.14 22.07 0.717
400 0.8818 1.015 23.27 26.39 33.05 36.93 0.715
500 0.7053 1.031 27.21 28.58 39.51 54.33 0.71
600 0.5878 1.052 30.78 52.36 45.6 73.7 0.71
700 0.5038 1.076 34.1 67.7 51.3 94.6 0.715
800 0.4408 1.099 37.23 84.5 56.9 117 0.719
900 0.3918 1.122 40.22 102.7 62.5 142 0.722
1000 0.3527 1.142 43.08 122.1 67.2 167 0.732
1100 0.3206 1.16 45.84 143 71.7 193 0.742

 

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