単位面積(A)x単位時間(s) の水分の蒸発量(em)を定率乾燥速度(Rc)と定義しています。
これは、材料に依存せず、熱風の温度・湿度・速度に依存することを意味しています。
表面積と乾燥速度の積なので、表面積を大きくすると蒸発量が増えて乾燥速度が上がります。
表面積を大きくとるには、
(1)細かく砕く
(2)表面に皺やヘアラインを付けて表面積を拡大する
(3)材料を延伸する
などの方法があります。
固体表面と流体との間で対流熱伝達によって輸送される熱量は熱伝達係数と呼ばれています。
乾燥条件の熱伝達係数は材料の大きさに比例します。
また体積の√2に反比例します。
4-4-1.球状の塊を砕いて直径を半分にして8分割すると
表面積S
S : 表面積
π: 円周率
r : 半径
元の球では、r = 1. 従って4π
8分割された直径が半分の球では、r = 0.5. 従って4πx0.5×0.5 =4πx0.25 =1π
然し8個あるので、1πx=8π
球状の塊を砕いて直径を半分にして8分割すると表面積は2倍になります。
熱伝達係数h
h ∝ √2V/1 ≒ 1.4倍
h : 熱伝達係数
V : 体積
つまり、球状の塊を砕いて直径を半分にして8分割すると、表面積が2倍で熱伝達係数が1.4倍なので、約2.8倍乾燥効率が良くなります。
4-4-2.固形の表面に皺を作ると
角度45度のギザギザの皺を作ると表面積は √2 ≒ 1.4倍になります。
従って、授風面積が1.4倍となり乾燥効率も1.4倍になります。
乾燥効率を向上するには、鏡面仕上げより、ヘアライン仕上げが有利です。
4-4-3.厚板を圧延して板厚を1/3にすると
板厚を1/3にすると表面積は3倍になります。
従って、授風面積が3倍になれば乾燥効率も3倍になります。
薄板の場合は熱伝達係数も改善されて、更に乾燥効率が良くなります。