4. 殺菌のメカニズム

オゾンはフッ素に次ぐ強力な酸化作用があり、殺菌・ウイルスの不活化・脱臭・脱色・有機物の除去などに用いられます。
オゾンは活性の高い酸素を含む化学種であり、広い意味で活性酸素の一つとされます。
身体に害があるとして話題になった「活性酸素」は、スーパーオキシドアニオンラジカルやヒドロキシルラジカルを指します。 水中では、オゾンの一部がヒドロキシラジカルを発生させます。

そレだけではなく、オゾンと細菌体内の水分子と結合してヒドロキシルラジカル(OHラジカル)を発生することもあります。
ヒドロキシルラジカル (hydroxyl radical) はヒドロキシ基(水酸基)に対応するラジカルで、OH と表されます。活性酸素と呼ばれる分子のなかでは最も反応性が高く、最も酸化力が強く、細菌の糖質やタンパク質や脂質などあらゆる物質と反応して分解して殺菌します。

しかし、その反応性の高さゆえ通常の環境下では長時間存在することはできず、生成後速やかに消滅します。

オゾン水での細菌の99%不活性化CT値 (mg/L・min)

腸内菌 0.01
ウイルス 1.0
芽細胞 2
アメーバシスト 10

一般に水中の有害微生物の不活性化には0.5ppmx5分=CT値2.5、 糸状菌では0.5ppm10分=CT値5程度とされています。
フランス公衆衛生局は、上水殺菌では0.4mg/L4分=CT値1.6以上と規定しています。

空気中では、254nmの紫外線はオゾンを光解離してO(’D)を生成し、水蒸気と反応しヒドロキシルラジカル(OHラジカル)を発生します。気体オゾンの殺菌力は湿度が高いほど強く、相対湿度50%以下では殺菌の効果は顕著に低下します。

CT値とは

CT値は、殺虫・殺菌効果を表す指標で、
ガス濃度を示すConcentrationと、時間を示すTimeの頭文字であり、ガス
濃度と接触時間の積(ミリグラム/リットル×時間)を表しています。

殺虫・殺菌効果は、害虫・殺菌がどの程度のガス濃度にどのくらいの時間接触され
るかによって決まるため、CT値が高いほど殺虫・殺菌効果は増加し、CT値が低
いほど殺虫・殺菌効果は低下します。

ラジカルとは

ラジカルとは、原子の状態のひとつで、通常は 2個1組で軌道上を回転しているはずの電子が何らかの条件によって 1つしかなくなっている状態のことです。
ラジカルな原子は、電気的に非常に不安的であり、周りの原子や分子から欠けた電子を奪おうとするため、きわめて反応性が強いという性質を持っています。
不安定で反応性に富む短寿命の中間体なので、かなりの速さで他の非ラジカル種と結合をして元の化合物を分解し、別の化合物を生成します。
細菌の体内の糖質やタンパク質や脂質などあらゆる物質と反応して、細菌の体を分解します。