8.紫外線発光のメカニズム

構造

細いガラス管の両端に電極を取り付け、中にアルゴン(Ar)やネオン(Ne)などの不活性ガス及び水銀(Hg)を封入しています。水銀原子はとても小さいので、大きな原子を封入して、2次電子の発生量を増やします。

1.放電の開始

1-1 電極間に高電圧を印加することで電界を発生させます。

1-2 発生した電界が、気体中に存在する初期電子(バルブ内にはじめから存在する電子)を加速させて封入ガスに衝突、電離させることで(α作用)、過渡的な放電が始まります。

1-3 +イオン化したそれらの物質は陰極に衝突し、2次電子が放出されます(γ作用)。

1-4 放出された2次電子は陽極に向かって加速され、封入ガスと衝突し、再び電離を促します。

2.放電の維持

2-1 電離を促す電子と電離して飛び出した電子が、更に他の封入ガスに衝突することで次々と電離を引き起こし、2個が4個、4個が8個のようにねずみ算式に電子が増加する現象「電子なだれ」が発生します。

2-2 これにより放電が開始され、γ作用による2次電子を電子供給源とし、α作用によりそれらを増殖することで放電を維持します。

3.紫外線の発光

3-1 放出された電子が水銀原子に衝突すると、水銀原子が励起されます。

3-2 励起された水銀原子は、紫外線を放出して、基の励起されていない状態(基底状態)に戻ります。

3-3 水銀原子は、電子の衝突→励起→紫外線放出→基底→電子の衝突というサイクルを繰り返します。

【用語解説】

電離

大きなエネルギーを外部から加えたとき、原子を構成する電子が軌道を飛び出し、イオン化する現象。

励起

外部から光や熱などのエネルギーを受けると原子を構成する電子が外側の軌道に推移し、不安定な状態になる現象。

基底状態

原子は通常、最も安定な状態で存在します。 これを基底状態と呼びます。
励起され不安定な状態になると、電子は直ちにエネルギーを光として放出することで元の安定した軌道に戻ろうとする性質を持ちます。